演劇はコミュニケーション療育の手段として優秀です。

るびの台本は、主に即興劇によって作られます。まず、子どもがじぶんのやりたい役を考え、みんなで舞台となる場所を決め、ごっこ遊びのように役になって話し合ったことが、そのまま台本になっていきます。

「先生」役をしたい子どもと、「生徒」役をしたい子どもがいて、舞台が「教室」となれば、

先生「テストを返します」

生徒「えー」

と、芝居がはじまるかもしれませんし、同じ役回りでも舞台が「宇宙」なら、

生徒「先生、一人で月に行くなんて、ひどいじゃないですか」

先生「どうしてこんなところに!」

と、はじまるかもしれませんね。

元気な男の子が参加していれば、芝居に戦闘シーンが入り、小さい女の子がたくさん参加していれば、お姫様やプリキュアが何人もいたりします。

さて、るびの子どもの障害種別や特性は様々です。即興劇を作るとき、例えば自閉傾向が強い子どもは自由な発想でセリフを考えることが苦手だったり、または自分のイメージした役にこだわって、「相手役をやっつけて、どうしても言うことを聞かせたい」と言い張り、他のメンバーと一緒に芝居を作りにくかったりするかもしれません。ADHD、注意欠陥多動傾向が強い子どもならば、みんなでお話を決めていっても、「やっぱりこうする」と急に役を変えてしまったり、戦うシーンで楽しくなってしまい、自分のセリフを忘れることもあり得ます。

いえ、こう言ったことは、実際によくありました。

そう言ったとき、お芝居を続けようと思えば、子どもたちは「調整すること」を求められます。

こう言ったとき、スタッフは将来的に子どもたち同士で調整ができるようになるために、どうしたら良いかを教えます。

●例1

A「先生、あの子がやられてくれません。私は最強なのに」

スタッフ「そうか。あなたは最強だから、相手がやられないのはおかしいのか。じゃあ、何で倒れないのか聞いてごらん」

A「なんで倒れないの?」

B「それは……、」

やりとりが続き、そのやりとりが台本になります。

●例2

A「先生、僕がやっつけたのに、やられてくれません」

B「先生、オレがやっつけたのに、やられてくれません」

C「先生、私がやっつけたのに、やられてくれません」

スタッフ「決着がつくまで戦えば?」

この時はごっこ遊びで50分ほど戦い続け、疲れて、お互いを認め合って、喫茶店に行こうと言うことになりました。その喫茶店でのやり取りが台本になりました。

このように、時々、ものすごく手間や時間がかかるのですが、スタッフがうまくまとめてしまわずに、子どもたち同士が納得できるまでつきあうと、次回は同じことが起こらなくなります。

だんだんと、調整を自分でするようになります。

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